ファスティングは2型糖尿病にも効く

だが、問題はカロリーではない。もしカロリーの問題ならば、ブラウニーひと皿と、オリーブ油でソテーしたサーモンとケールサラダは、カロリーが同じであれば、同じくらい太りやすく2型糖尿病を引き起こしやすいということになる。だが、この考え方は明らかにばかげている。

高度に加工され、インスリンの分泌を促しやすい食べ物をたくさん食べたら、その分、インスリン値を低い値に戻すためにファスティングをする必要がある。インスリン値を下げるのに、ファスティングほど効果的なものはない。

では、ファスティングと低炭水化物・ヘルシー脂質ダイエットの、どちらを実践すべきだろうか? どちらか一方にしなければならないという決まりはない。

最大限の効果を得るために、ファスティングと低炭水化物・ヘルシー脂質ダイエットの両方を組み合わせればいいのだ。

食事を変えることで血糖値とインスリン値を下げることができて2型糖尿病がよくなるのなら、薬を飲む必要などないのでは? そのとおり。2型糖尿病は食生活が原因の疾患なのだから、食生活を変えればよくすることができる。

大切なのは体脂肪全体ではなく、異所性脂肪を減らすこと

ファスティングをすれば、自然と体(糖が入った器)から糖がなくなる。

ジェイソン・ファン『糖脂肪』(サンマーク出版)
ジェイソン・ファン『糖脂肪』(サンマーク出版)

いったん空になれば、再び糖が体内に入ってきても、それが血中に放出されることはないので、もはや糖尿病ではない。糖尿病はよくなっている。

早くも1916年には、ジョスリン医師が、「ファスティングは糖尿病に効果的だ」と報告している。

近年では、1969年にその効果が報告されている。13人の肥満患者が減量するために入院したのだが、その後の検査で2型糖尿病であることがわかった。

彼らは人によって17日から99日にわたるファスティングを行い、平均で20キロの減量に成功した。ひとりの例外もなく、糖尿病はよくなっていた。

興味深いのは、糖尿病がよくなったのは、たんに体重が減ったからではないという点だ。大切なのは体脂肪全体を減らすことではなく、異所性脂肪を減らすことなのだ。

2型糖尿病を改善するためにファスティングを行うにあたっては、いくつかの基本原則がある。糖尿病がよくなるまでの期間は、ファスティング時間の長さと病歴の長さによって変わる。

ファスティング時間が長いほど効果は早く出るが、2型糖尿病になってから20年経っている場合は、数カ月間ではよくならないだろう。もっと長くかかるが、実際の期間は患者ひとりひとりによって異なる。

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